鮭祭り Issaquah Salmon Day Festival

サマミッシュ湖の南にあるイサカ市。普通の住宅街の中、川幅5メートルもないような浅い川に毎年、鮭が遡ってくると聞いたので、怖いもの見たさで行って来ました。
(私は、鱗のついている魚が怖いんです。魚の群れに放り込まれたら、恐怖で身がすくみます。だから、ダイビングはやりません。)

10月の最初の週末に開催される「Issaquah Salmon Day Festival」は、イサカの町をあげてのお祭りです。歩行者天国にした目抜き通りには、アート&クラフトや、地元商店の出店テントが軒を連ね、公園にはフードコートや特設ステージができてエンターティメントも盛りだくさん。

鮭祭りなので、町のいたるところに、こんな「サーモン・アート」が飾られています。

屋台が並ぶ通り抜けると、州政府のFish and Wildlife局が運営するThe Issaquah Salmon Hatcheryに出ました。
1936年に作られたこの養殖場では、川を遡ってきた鮭の一部を使って人工的に鮭の稚魚を養殖し、毎年、イサカ・クリークに放流しています。
天然の鮭は産卵しても育つのは5%だけど、養殖の成功率は95%。この養殖場では、淡水湖に放す鱒も育てています。
州の漁業資源を守るための施設ですが、自然保護の役目も果たしています。

実際に鮭が遡る様子をみようと、小さな橋の上からのぞいてみました。イサカ・クリークは、住宅街の裏庭を流れる小川という感じで、こんなところを鮭が遡ってくるのと思ったのですが、いました!思ったよりも大きい!


イサカ・クリークは直接、太平洋に流れ込んでいないので、この鮭たちは、太平洋からシアトル北部のSalmon BayからLake Washingtonに入って、5号線の下を通ってLake Washingtonに入り、そこからSammamish Riverを遡ってLake Sammamishに入り、Issaquah Riverを見つけて遡ってくる。とてつもなく、複雑で遠い道のりをちゃんと帰ってくるのです。
Friends of Issaquah Salmon Hatcheryのサイトによると、9月の半ばごろから鮭が川や湖を泳いでいるのが、目撃できたそうです。
来年はぜひ、レドモンドのトレイル沿いで泳ぐ鮭を見てみたいです。

Hatcheryの中では、鮭の鱗を顕微鏡で見せてもらいました。
鱗には、指紋のような筋が見えます。色が黒いところが冬にできた筋で、それを数えると木の年輪のように鮭の年齢が分かります。
この川に遡ってくるのは、4歳の鮭だそうです。
この養殖場で育てている鮭は、現在、 chinook と cohoの2種類ですが、今日は他の種類の鮭も展示してあり、違いがよく分かりました。
chinook は、いわゆるキング・サーモンで、シヌークとはコロンビア川周辺に居住していたネイティブ・アメリカンの民族名です。ファーマーズマーケットでは、キング・サーモンではなくシヌークという名前で売っていることが多いです。 cohoは、シルバー・サーモンとも呼ばれており、日本でも銀鮭と呼ばれています。

展示の中でも私が一番驚いたのは、海にいる時と川を遡り始めてからでは、鮭の顔がまったく違ってしまうこと。
遡上してくる鮭の顔は、獰猛そうなのです。
体が赤くなることは知っていましたが、こんな怖い顔になるとは知りませんでした。
命の最後に生殖するためだけに、命がけで川を遡ってくるのですから、その決意のほどが現れた形相に見えますが、単にサカッているだけなのかもしれません。
(実際には、浅い川を遡るのに便利なように、顎が発達するのでしょうが。)