朝起きたら雪が降っていた。

ぐずぐずと寝ている娘に「雪が降っているよ」と言った途端に飛び起きて、着替えて、外に飛び出して行った。
ワシントンに越してきて2度目の冬。ついに本格的な雪が降った。
カリフォルニアから引っ越すときに、娘が引っ越しを自分に納得させるために書いたワシントン州の良いところの一番目が、「自分家の庭で雪遊びができる」だった。
家の下見に来た一昨年の冬はかなり雪が積もっていたので、「冬になれば雪遊びができるよ」と期待させていたのだが、去年の冬も今年の冬も我が家の周辺まで雪が降ることはなかった。

ようやく、ようやく、約束した雪が降ったのだ。
娘の喜ぶ姿に、私も少しホッとした。


積雪4センチほどで止んだ。20センチも積もったという東京には及ばないが、一面真っ白になっている。


玄関前にウサギの足跡があった。

朝ごはんを食べてから、道からガレージドアまでの間を除雪することにした。明日の朝凍り付いたら、雪道やアイスバーンでの運転経験がない私には危険だから。
雪ダルマを作るように雪を丸めてとりのぞく方が、スコップですくうよりも地面に雪が残らない。
せっかくだから、重ねて雪ダルマにした。除雪が目的なので、落ち葉がまとわりついて汚い仕上がりだが、親子3人仲良く寄り添っている。

雪かきの目途がついたところで、お父さんと娘はそりを持って裏の小学校へ行ってしまった。
校庭が校舎よりも低いところにあって、芝生のスロープになっている。そり滑りには恰好の場所だ。近所に住む子供たちが既に滑り降りていて、雪がけずれ芝がのぞき始めている所もある。

娘とお父さんは、何度も滑り降りた。私も一回だけ滑ってみたが、ちょっと怖かった。
帰りの坂道は、そりに乗った娘をお父さんが引いて帰った。

「楽しかったねえ。ワシントンに越してきて良かったね。」
3年越しの言葉をようやく聞くことができた。

追記:夜半からの雨で翌朝には大方の雪が溶けてなくなった。わざわざ雪かきをしていたのが我が家だけだった理由が分かった。
雪ダルマは午後にはもう崩れかけていて、仲良し親子はホラーになっている。