昨日の晩ご飯は、納豆お焼き、里芋とアラメの煮物、蕪の汁仕立て、黒豆の塩煮、白菜の浅漬けでした。

白菜と黒豆は常備菜。作り置きがあると、おかずが少ない時に便利です。
他のメニューも買出し前の冷蔵庫にあるものだけで、なんとかしました。前の日のハレ料理と対照的なケの日の料理です。

納豆お焼きは、小麦粉と上新粉を半々に合わせたところへ、長いもの摩り下ろし、納豆、水、ごま油、自然塩を入れて生地にしました。
キャベツの千切りと青ネギの細切りを混ぜ込んでフライパンで焼き、ごま油と醤油を合わせたタレを塗ります。
生地に米粉が入ると透明感が出てモチっとします。

里芋と一緒に煮たアラメは、細長いひじきのような海草です。アメリカの自然食品店ではポピュラーな海草ですが、私はマクロビオティックを学び始めるまで、知りませんでした。
日本のあちこちに、都会では流通していない、ローカルで食用にされている海草がたくさんあると思います。豊か、ですよね。
里芋のぬめりと、海草のぬめりが合わさって、ぬめぬめ2倍の抗酸化メニューです。
海草からうまみが出るので、出し汁は使いません。里芋とアラメと半分の高さまでの水を鍋に入れて火にかけ、沸騰直前で蓋をして中弱火で5分ほど蒸し煮にし、醤油を加えて蓋を外して煮ます。

お汁碗は、お昼に食べたうどん用に作ったスープの残り。そこに、摩り下ろした蕪を入れて温め直し、ひと煮立ちしたら薄切りにした鶏肉数切れと、アレグラを入れました。汁碗に盛ってから白髪ネギを飾りました。
オリジナルのレシピは、『暮しの手帖』に載っていた、神田裕行さんの豚肉とせりのかぶら煮です。
せりの代わりに使ったアレグラ(arugula)は、日本ではルッコラとかロケットと呼ばれているそうですね。独特の苦味と辛さがあって、蕪の甘さと苦味とよく合っていました。

『暮しの手帖』を久々に読みました。先週引っ越した友達から譲ってもらったものです。
表紙の裏にこう書いてあります。

「これは あなたの手帖です
いろいろのことが ここには書きつけてある
この中の どれか一つ二つは
すぐ今日 あなたの暮しに役立ち
せめて どれか もう一つ二つは
すぐには役に立たないように見えても
やがて こころの底ふかく沈んで
いつか あなたの暮し方を変えてしまう
そんなふうな
これは あなたの暮しの手帖です」

久しぶりに読んで、「ああ、そうだったね」と思いました。
初めて『暮しの手帖』を知ったのは、核燃サイクルの反対運動をしていた二十歳そこそこの頃でした。
初代編集長・花森安治氏の「暮しの旗を立てよう」という言葉が胸にささってから、その旗は私の胸の奥にあります。
ファーマーズマーケットでオーガニック野菜を農家から買ったり、洗剤を使わなかったり、フリースクールに参加したり、自分の暮らしのささやかなこだわりを続けてきたのは、この旗を裏切れなかったからです。
どうしようもない気持ちで夜中の台所で玄米を研ぐとき、私の家の屋根には目に見えない旗が立っていると、歯を食いしばりました。
旗を降ろさず立て続けていたら、きっと誰かの目に留まると、思っていました。
私の中の旗を見つけてくれてありがとう。
私の海賊旗には、箸と茶碗の絵が描いてあるでしょ。