昨日の晩ご飯は、小豆の塩煮、根菜と厚揚げの煮物、蒸しケールをごま油と梅酢のドレッシングで、リークのスープ、玄米。

煮物にゴボウを使うときは、底にゴマ油を薄くひいた鍋にゴボウを重ならないように並べて、ジュワジュワと水分が出てくる音が聞こえるまでほっておきます。ツンと鼻を刺す匂いがなくなって、甘い香がしてきたら裏に返します。ここで丁寧に甘さを引き出しておくと、ゴボウを噛んだ時に、「香ばしくて、甘くて、おいしいゴボウ」を味わえます。

ゴボウを端に寄せて、こんにゃく、干ししいたけ、きくらげ、ニンジンの順に炒め、水を具の高さの半分弱まで注ぎ、昆布を具の中に隠します。沸騰直前で蓋をし、火を弱め5分ほど煮ます。調味料を入れる前に、少な目の水分で汗をかかせるように蒸し煮すると、野菜のうまみが引き出されます。醤油を加えて、蓋をしてしばらく煮た後、蓋を外して煮切ります。
蓋をすると、鍋の中で対流が起こり、一つ一つの野菜から出る味が自然と混ざり合い、味に調和が生まれます。

かき混ぜない、ほっておく調理法は、自然の調和を乱さないためです。手を加え過ぎず、耳をそばだて、見守る。子育てに似ていると思います。

とは言え、ほっておけなくて、かき混ぜたくなる時があります。そういう時は無意識にかき混ぜてしまうのではなく、少しだけ意識を自分に向けて、「おおっとー、この手がかき混ぜたがってるぞー」と声に出してみます。馬鹿馬鹿しくて、笑いが出ます。笑ったら一呼吸が入ります。気が急いているから、かき混ぜたくなるのです。一呼吸が、スピードに追われる気持ちを緩めてくれます。
時間が足りないと焦るなら、調理時間を短くする工夫をすればいい。昨日は夕飯の支度を始めたのが遅かったので、ゴボウを乱切りにしないで、3ミリ厚に切りました。

「効率」君が近寄ってきたら、ひとりドリフ状態で自分を笑う。私はよく、勝手な歌を作って、作業しています。
本当はレンコンも煮物に入れたかったのだけど、冷蔵庫を見たら入っていなかった。「れんこん、れんこん、レンコンどこだー」と歌ってました。「れんこん、れんこん、お前はいないー。」
愛と悲しみのレンコンオペレッタでした。