福島第一原発で働く皆さんに感謝の気持ちを届けたい

今年はアメリカ各地が大寒波に見舞われ、ご苦労されている方も多いことと思います。
福島原発がある福島県沿岸部も寒い冬を迎えています。
この手紙を書いている今日の双葉町の気温はマイナス5度。
戸外で働く方々には厳しい環境です。

このメールは、その寒空の下、福島原発で働いている方々に、機能性インナー(ヒートテックなど)と携帯カイロを寄贈しませんか、という呼びかけのメールです。
「核事故が発生してから3年近く、危険な現場で働いている方々に、感謝の気持ちを表したい。」
私たちのこうした思いに賛同いただき、このメールを広めていただけるとうれしいです。

アメリカ在住の方からのドネーションは、このページからペイパルまたはクレジット・カードで受け付けています(2月28日まで)。






チェックや現金で寄付したい方、ご意見・ご質問は、macrobiclub@gmail.comまでメールをください。

以下に、なぜ福島原発で働く人を応援したいのか、誰がどこに「機能性インナー」と「携帯カイロ」を送るのか、ドネーションの方法を書きましたので、お読みください。
末尾ながら、本年が皆様にとって良い1年となりますようにお祈り申し上げます。

本多ゆか(ワシントン州)、武藤育良(ミシガン州)

福島原発で働いている人々

福島第一原発では、今でもおよそ3000人が働いています。
普通の建設現場なら防寒ジャケットを着たり暖房器具を使用することができますが、原発ではそうはいきません。
福島原発の作業現場では、放射性物質が体に触れるのを防ぐために、ポリエチレン製の不織布でできた薄手のタイベックスーツを着て作業に当たっています。マスクとゴーグルもつけています。中にジャケットを着ると動きにくくなるので、冬でもタイベックスのスーツの下は普通の作業着のままです。夏は暑く冬は寒い。肉体的に厳しい作業環境です。

どんな作業をしているか、いくつかご紹介しましょう。

放射線量が高い瓦礫があると作業ができないので、大手建設会社とその下請け会社が、建設機械や重機、素手を使って、地震と津波で破壊されたり爆発で飛び散った瓦礫を撤去し、壊れた施設の補修をしています。

壊れた原子炉に流入した地下水が放射能と接触してできる汚染水を回収、浄化処理、管理をしています。放射能汚染濃度の計測、汚染水を入れるタンクを設置するための敷地の造成、タンクの設置と点検・補修、タンクからの汚染水漏れの対応などの作業が、「汚染水問題」として報道されていますね。

昨年11月に作業が開始されたときにアメリカでも報道された4号機の使用済み核燃料プールから使用済み核燃料をもっと安全なところに移動する作業は、長年、原発の保守点検に携わってきた原発関連企業が協力して担っています。

内部がどうなっているか想像もつかない原子炉の解析、解け落ちた核燃料のありかを探す作業は一進一退のようです。放射線量が高すぎて人間が近づけない場所にはロボットを使ったり、長い棒の先に線量計をつけて物陰から手を伸ばして測定しています。

そのほか報道はされませんが、放射性物質が拡散しないためのコーティング剤の散布、出入りする作業員の被曝量や作業現場の放射線量測定、使用済みタイベックスーツなどの放射性ゴミの処分、電気設備の点検・保守、爆発しなかったけれど運転停止中の6号機、7号機の管理などの現場作業が、電気設備会社や原発関連企業、東電の社員によって行われています。

また、こうした一連の作業を支える事務方の仕事は、放射線量の低い福島第2原発の事務所に移され、そこでは女性も働いています。

福島原発で働いている人々の多くは地元の方々で、地震や津波の被災者であり、放射能汚染のせいで住む家を奪われた原子力事故の被害者です。避難先のいわき市から車で片道2時間以上かけて通っている人も少なくありません。
事故によって環境が様変わりしてしまった職場に、今も通い続けているのです。

日雇いの労働者もいれば、東京電力の正社員もいます。なかには、福島県人として、日本人として志願してきた人もいます。
皆さん、誰かの夫であり、お父さんであり、息子であり、友人です。私たちと同じ「普通の人」です。

その「普通の人々」が、原発事故対応という「特別な使命」に取り組んできました。
事故直後の彼らの働きがなければおそらく、今よりももっと大きな被害が起こっていたでしょうし、再び大量の放射能が環境中に吐き出される事態を防ぐために現場作業に当たっています。
とりあえず度重なる余震にもかかわらず、私たちの生活がさらなる放射能汚染の危険から守られているのは彼らのおかげです。

彼らに「ありがとう」と言いたい。
また、彼らの働きがもっと世間に認知されるようにしたい。

原発事故が起こって以来、ずっと福島原発の状況を見守ってきた私たちは、よくそういう話をしてきました。
なにしろ、これから先40年以上にわたって管理が必要な福島第一原発です。
メルトダウンした核燃料をどうやって取り出すのか、汚染水をどうやってコントロールしていくのか、未だに確立されていない技術を開発しながら、人類史上はじめての大規模な核事故に対処していかなければなりません。
その現場では、これからもたくさんの人が努力していかなければならないのです。

いえ、現場の人の努力だけに任せておけば良い問題ではないのです。
40年間と言えば、今、10歳の私たちの子供が大人になって家庭をもって働いてリタイアするまでの人生の大半です。40年後には私たちは生きていないかもしれないし、私たちの孫の世代が現場に入っているでしょう。

放射能で汚染された福島原発を、子供や孫の世代に押し付けていくのですから、今を生きている私たち一人ひとりの問題として、せめて小額の人道的な支援を通じて気持ちを寄せていきたいし、その気持ちを皆さんとシェアしたいのです。

アプリシエイト・フクシマ・ワーカーズ(Appreciate Fukushima Workers)の活動

海外在住の日本人としてどんな風に支援すればよいのか、私たちに何かできることがあるのではないか、と模索していたところ、フェイスブックを通じて吉川彰浩さんと知り合いました。

吉川さんは、元・東京電力の社員。大震災当時は、福島第二原発にお勤めでした。ご自身とご家族もご自宅が放射能で汚染されたために、避難生活を送られています。
東京電力を退職してからは、「被災地の復興のためには、福島原発の安全・安定な廃炉と、そこで働く作業員への支援が必要である」と訴え、支援活動を始められました。吉川さんの理念と活動については、AFWのホームページをご覧ください。

アプリシエイト・フクシマ・ワーカーズ(AFW、Appreciate Fukushima Workers)では、活動の一環として、福島原発で働く人々に、機能性インナー上下3000着(600万円相当)、カイロ30万個(400万円相当)を寄贈するための寄付金を集めています。2014年1月9日現在、約750万円が集まり、インナー2000着、カイロ9万個を寄贈しています。

福島原発に出勤する人々の集合地点となっているJビレッジで、全国の方々からの寄付として配布しています。



機能性インナーとカイロの買い入れ、輸送は、地元企業を利用しています。震災と原発事故で経済的な打撃を受けた福島県浜通りの復興に貢献するためです。

吉川さんのところには、「東電が無料でインナーやカイロを配るべきではないか」という意見も寄せられています。それに対し、吉川さんは、現地の作業員の方々を応援している方が全国に沢山いて、実際に支援物資を届けたことで、東電に対し、「震災後は事故を起こした当事者としての自覚をもち、そして働く方々が自分では解決出来ない悩みを持っていることを理解し解決に努力する。その姿勢を見える形でやらなくてはいけない。」という強いメッセージを送ることができると、おっしゃっています。
吉川さんの活動についてもっと詳しく知りたい方は、AFWの活動報告ブログをご覧ください。

寄付の方法

アメリカ在住の友人の皆さんが簡単に寄付できるように、ミシガン州で活動されているNPOミシガン雫の会(英名 Association of Humanistic Studies)さんにご協力をいただきました。
皆さんから寄せられる寄付は、雫の会さんを窓口とするので税金が控除されます。
20ドル以上のご寄付をいただいた方には、メールで税控除の領収書をお送りしますので、メールアドレスを必ずご記入ください。
皆さんから寄せられるアプリシエイト・フクシマ・ワーカーズへの寄付は、ペイパルと銀行の手数料を除いた全額を日本に送金します。






日本にお住まいの方は、直接、アプリシエイト・フクシマ・ワーカーズの口座に送金してください。
ゆうちょ銀行から振込みされる方は
記号:18260 番号:39295531 名前:アプリシエイト フクシマ ワーカーズ

他金融機関から振込みされる方は
金融機関コード9900 ゆうちょ銀行
店名:八二八 店番:828 預金種目:普通預金  口座番号 3929553
名前:アプリシエイト フクシマ ワーカーズ

今回の機能性インナーとカイロを届ける活動への寄付の募集は3月一杯です。
そのためアメリカでの募金は、2月28日で締め切ります。

お友達やお知り合いに、ぜひこのメールを転送してください。

最後まで読んでくださってありがとうございます。
核事故を起こした原発の処理には40年以上かかります。
その事実に、きちんと向き合っていきましょう。

2014年1月26日 
本多ゆか(ワシントン州)、武藤育良(ミシガン州)